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 カトリック系の伝統校、宇都宮市の私立「星の杜中学・高校(宇都宮海星学園)」は、共学化、校則・定期テストの廃止といった改革を続けている。主導するのは県外出身の小野田一樹さん(49)。今春、校長にも就任した。なぜ厳格な校風を「茶髪・ピアスOK」に変えたのだろうか――。

主導する小野田さんは県外出身、教師経験も無し

 小野田さんは静岡県出身。都内の大学を卒業後、教育系出版社を経て、30代で旅行会社大手のJTBに転職した。修学旅行や海外研修の企画で国内外の教育現場を見る機会が多かったことが、新しい教育に取り組むきっかけになったという。

 最も印象に残るのは、米国の幼~高一貫校の視察。小学6年生がツリーハウスを製作する授業で、設計、材料集め、工具の使用方法などを自ら調べ、1年かけて仕上げていた。教員は最低限のアドバイスをするだけだった。

 「子どもが関心・興味を深め、自分たちで解決することに重点を置いていて、知識を詰め込むことを目的とする日本と全く違った」

 転身のきっかけは2020年のコロナ禍。旅行会社の仕事がほぼなくなり、起業を決断した。教員免許はなかったが、理想の教育を実現する第一歩として、川崎市のアパートで保育園を開園。同年11月にJTBを辞め、教育事業に専念すると決めた。

 すると翌春、学校行事を通じて面識のあった宇都宮海星学園の当時の校長から「学校改革を手伝ってもらえないか」と声を掛けられた。自身の事業を兼務しながら、新設された「校長補佐」に就任した。

改革開始時の学園運営は苦境、生徒数は盛期から大幅減

 学園は1954年開校の伝統校。北関東唯一のカトリック校で、女子校だったが、運営は苦境に陥っていた。かつて1学年250人ほどいた生徒数は近年四十数人に減っていた。

 校舎の建て替えや教員の入れ…

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