米国の民間雇用者数は昨年12月、市場予想を上回る増加となった。中小企業で雇用が大きく伸びた。労働需要が引き続き堅調で、賃金の伸びにつながっている状況が浮き彫りとなった。
キーポイント |
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上段:民間雇用者数の変化 下段:新規失業保険申請件数
出所:ADP、米労働省
雇用の伸びは従業員が500人未満の企業に集中。500人以上の大企業では15万1000人減少した。業種別では娯楽・ホスピタリティー、教育・医療サービス、プロフェッショナル・ビジネスサービスで増加が目立った。
ADPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は「労働市場は力強いが、むらがある。人材採用の状況は業界と事業体の規模によって明確に異なっている」と指摘。「2022年の前半に積極的に採用を行った業種では、12月に採用ペースを減速させたか、人員削減に動いたケースもある」と説明した。
6日には政府の12月雇用統計が発表される。市場調査では非農業部門雇用者数が18万3000人増、失業率は歴史的低水準に近い3.7%での横ばいが見込まれている。
ADPによれば、地域別では西部を除き全てで雇用が増えた。テクノロジー企業が多く集まる西部では14万2000人減少。アマゾン・ドット・コムは4日、1万8000人強を削減する計画を示した。
アマゾン、1万8000人強の人員削減を計画-想定水準上回る規模 (1)
今回のADP統計では、12月における賃金の伸びに関するデータも明らかになった。金融当局はインフレとの闘いにおいてこの伸びに注目している。
ADPのデータでは、賃金上昇ペースは12月に急減速したことが示された。仕事を変えた人は賃金が前年比で15.2%上昇と、過去10カ月で最も低い伸び。同じ仕事にとどまった人では、賃金の伸び率の中央値は7.3%と、11月(7.6%)から鈍化した。
原題:ADP Jobs Data Surprise as US Hiring Runs Hotter Than Estimates(抜粋)
(賃金のデータなどを追加して更新します)