インドの資産家ゴータム・アダニ氏率いるアダニ・グループの中核企業アダニ・エンタープライゼスは、2000億ルピー(約3160億円)に上る大規模な公募増資を中止することを決定した。米空売り投資家ヒンデンブルグ・リサーチのリポートをきっかけに、同グループ企業の株価は急落していた。
同社は証券取引所に提出した文書で中止を明らかにした。
1日のインド株式市場では、同社やその系列企業の株価が再び急落。クレディ・スイス・グループがアダニ・グループ傘下企業の社債をプライベートバンキング部門顧客のマージンローンの担保として受け入れることを停止したとブルームバーグ・ニュースが報じ、下げが加速した。
クレディSのプライベートバンク、アダニ債のマージンローン停止
アダニ・エンタープライゼスは、この公募増資で投資家に損失が生じる恐れがあるため、取引を中止すると提出文書で説明。
「今日のような市場は前例がなく、当社の株価は一日を通して揺れ動いた」とし、「このような異常な状況に鑑み、取締役会は増資を進めることが道義的に正しくないと認識した」と記した。
アダニ・エンタープライゼスの増資はインド史上最大規模だったが、締め切り終了直前に既存株主や機関投資家の注文が急増し、最終日になって応募が募集額の100%に達した。ヒンデンブルグ・リサーチによる不正会計疑惑の指摘にもかかわらず増資を完了できる見通しとなったことは、アダニ氏の勝利として捉えられていた。
同社は返金手続きを幹事社などと作業する。
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原題:Adani Abruptly Abandons $2.4 Billion Stock Sale as Crisis Mounts(抜粋)、Adani Enterprises Will Not Proceed With Public Offer of Shares(抜粋)
(情報を加えて更新します)
これはブルームバーグ・オートメーションを利用して作成した記事です。