欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、インフレ率があまりにも高過ぎると指摘し、中銀の目標水準に戻す取り組みを緩めることはしないと表明した。
総裁は19日ダボスでのパネル討論で、「インフレ率はどう見てもあらゆる側面であまりにも高過ぎる。金利を景気抑制的水準に引き上げ、インフレ率を速やかに2%に戻すためにその水準で十分に据え置いたと考えられる時点までは、取り組みを堅持する」と語った。
ユーロ圏の物価上昇がようやく鈍化し天然ガス価格が下落したことで、予想される2月の0.5ポイントの利上げの後は、より小幅な利上げが適切になるのではないかと当局者の一部は考えている。ブルームバーグに対し、事情に詳しい関係者が述べていた。
しかしコアインフレ率が昨年12月に過去最高を更新し、ロシアのウクライナ侵攻後の経済も予想以上によく持ちこたえていることから、多くの当局者はユーロ導入後最も急激なインフレを完全に退治するまで利上げを続ける決意だ。
ビルロワドガロー・フランス中銀総裁とクノット・オランダ中銀総裁はいずれもダボスで、0.5ポイント利上げを当面続ける必要があるとしたラガルド氏の先月の発言は依然として有効だと強調した。
ECBは「複数」回の50bp利上げへ、1回ではない-クノット氏
ラガルド総裁の50bp利上げガイダンス、依然有効-仏中銀総裁
総裁はユーロ圏経済について、現時点の見通しとしてはリセッション(景気後退)ではなく「小幅な縮小」となる可能性が高いと発言。「データはここ数週間にはるかに良好になった。今年は素晴らしい年にはならないが、恐れていたよりもずっと良いだろう」と語った。
同じパネル討論に参加したドイツ銀行のクリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)もインフレを抑え込む必要性を認め、ECBが引き締め過ぎるリスクがあるとは考えていない。
「経済に楽観が強まっているという多くのコメントに同意するが、高インフレや幾つかの構造改革など欧州が抱える基調的な問題がなくなったわけではない」と指摘。「中国の経済再開がユーロ圏のインフレにどのような影響を与えるかも注視する必要がある」と語った。
オランダのルッテ首相もインフレへの懸念を表明し、「インフレと欧州の長期的低成長の見通しの組み合わせ」を懸念していると述べた。
原題:Lagarde Says Inflation Way Too High, ECB to Stay the Course (1)、Lagarde Says Inflation ‘Way Too High,’ ECB Will Stay the Course(抜粋)