優れた静粛性はハリアーPHEVの大きな魅力
駆動力バッテリがチャージされていれば、市街地から高速まで電気だけで走り切ってしまう。高速道路でも80km/h程度は電気だけで走ってしまうので、あえてスポーツモードを選択してエンジン併用でハイブリッド走行してみる。
2.5リッターのダイナミックフォースエンジン(130kW[177PS]/219Nm)とフロント134kW/270Nm、リア40kW/121Nmのモーターを使ったシステム出力は306PSとなり、スポーツモードでは常に加速のスタンバイ状態にあり、アクセルレスポンスもシャープでいきなり速い。フルアクセルでの0-100km/h加速は6秒前半と言われるが、ハリアーPHEVの良さはその速さを感じさせない上品さにある。車体がしっかりしており、EV駆動で音や振動をほとんど感じないからだ。例えば高速での追い越し加速でも雑音もなくグイと平行移動するような加速感で非常に滑らかで気持ちが良い。
ドライブモードはECO、EV、ノーマル、スポーツがあるが、おもしろいのはその横に設けられたAUTO EV/HVモード。基本的にはEV、そして必要に応じてHV走行し、頻繁にチャージモードに入り積極的にエネルギー回生を行なう。このシステムだと電気を先行して使いきってエンジン走行となることを減らすことができるTHSの真骨頂だ。静かな住宅地でも電動走行を選択する余地が残る。さらにナビゲーションと連動してクルマにとっての最適解を選ぶ賢さを備える。それでなくともハリアーは静かなのだ。
そう、ハリアーの上質さの1つは静かなキャビンにある。さすがにエンジンが高回転になると音振共に発生するものの穏やかで、同じエンジンを搭載した他モデルの中でもトップクラスにある。プラットフォームの構成や遮音材の使い方がたくみで、特にエンジンルームまわりの音は良く抑えられている。
ロードノイズはザラメ路のようなコースではラゲッジルームから入ってくるノイズがあるものの、基本的によく遮音されている。滑らかな路面ではタイヤが発するロードノイズも小さく、すべてのパッセンジャーは静かな空間で会話が続けられる。
乗り心地はSUVらしい腰のあるしなやかさ。段差通過の際もサスペンションがショックを吸収する。かといって高速で姿勢が不安定になることもなく、ピッチングやロールも小さい。ハリアーが安心してドライブできる点だ。
サスペンション設定の妙はハンドリングにも表れる。ターンインからアウトまでハンドルの反応が素直で、適度なロール制御で安定した姿勢でツイスティな山道も走れる。この穏やかさは高速道路でのクルージングにも表れ、全車速追従クルーズコントロールとレーンキープを入れておくと、あまり迷うことなく車線をキープする。各種センサーの性能はもちろんだが、基本となる車体がしっかりしていてこその先進技術だと思う。ドライブフィールでは欲を言えばどっしりと路面をつかむ感触がほしいところだが、贅沢な希望だ。
充電は普通充電のみで200Vで一晩充電すればほぼ満充電になる。また外部電力は1500W対応のコンセントを持っている。先進安全技術でも右折時の障害物検知など最新のトヨタセーフティセンスにアップデートされた。この分野での進化は速く、マイナーチェンジを待たずに変わっていくのが最近の傾向だ。
ほぼすべての装備を付けて価格は620万円。歴代ハリアーの中では最も高価だが、それだけの価値はありそうだ。