政治改革の与野党攻防で、企業・団体献金が争点に浮上している。「カネで政策がゆがめられる懸念がある」として多くの野党が廃止を訴えるが、自民は収入源が断たれることから否定的な立場を取る。30年前に一度、見直しで合意しながら、今も残る企業・団体献金の問題点とは。

 自民党の政治刷新本部座長を務める鈴木馨祐衆院議員は、12日のNHK討論番組で「自民の力をそぎたいという政局的な話がごっちゃになっている」と語った。自民の重要な資金源である企業・団体献金の廃止や見直しを求める野党に反発したものだが、党の「力の源泉」であることを暗に認めた。公明党は「検討すべき課題」としている。

 鈴木氏は13日のBS番組でも「各党の収支構造が違う中、自民の収支構造に直結するものだけがピックアップされている」と述べ、企業・団体献金がやり玉に挙げられていることに不満を示した。

 なぜ企業・団体献金が問題視されるのか。たびたび国会で指摘されてきたのが、政府が進める政策への影響だ。立憲の辻元清美氏は3月の参院予算委員会で、「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」をめぐり、元防衛相や東京大名誉教授、元駐米大使ら全17人の委員の中に、自民に多額の企業献金を続ける三菱重工業の宮永俊一会長が名を連ねていると指摘した。

 自民の政治資金団体「国民政治協会」の政治資金収支報告書によると、2022年の同社からの献金は3300万円で、上場企業のなかで7位。一方、同社は自衛隊の防衛装備品を多数受注し、23年度の契約額は1兆円を超えた。政府は27年度までの5年間の防衛費を従来の1・5倍の43兆円に増やす方針で、この有識者会議ではさらに増額するべきだとの意見が出ている。

 岸田文雄首相は「防衛産業の実態をしっかり把握した上で、総合的な防衛力を考えなくてはいけない」と、宮永氏の人選に問題はないという認識を示したが、辻元氏は「防衛政策でもうける利害関係者を会議に入れ、自民が政治献金を受け取る。まるでキックバックだ」と批判した。

 ほかにも日本医師会からの献金も国会で取り上げられた。日本医師会の政治団体「日本医師連盟」は22年に2億円を献金している。日本維新の会の柳ケ瀬裕文氏は、政府が決めた診療報酬の引き上げについて「献金によって、財政支出に影響があったとすれば問題」とただした。

企業団体献金は、30年前の改革の「積み残し」

 こうした野党側の攻勢に、自…

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