介護タクシーの運転手(左)が片山悠里さん(中央)の乗車をサポートする。そばで母幸子さん(右)が見守る=2024年9月24日午前9時9分、横浜市戸塚区、良永うめか撮影

 スマホのアプリで介護タクシーの配車を依頼するサービスが、首都圏を中心に広がりつつある。今月には横浜市のIT企業がスタートさせたほか、東京都のIT企業は昨年3月から首都圏や関西圏で展開し、すでに4千人以上の会員登録があるという。配車の依頼にかかる手間を大幅に省くことができ、利用者に好評だ。

 介護タクシーは、資格を持った運転手が障害者や高齢者などを介助しながら送迎するサービスだ。認定NPO法人「横浜移動サービス協議会」(横浜市中区)によると、利用料としては国交省から認可された運賃に加え、迎車料金、必要なサポートによって介助料などがかかる。

 これまで介護タクシーを使うには、いくつもの事業者に電話をかけ、条件に合うタクシーを探す手間がかかった。必要なサポートなどを説明するのに5分以上、複数のタクシー会社に断られてしまうと、電話をかけ直し、30分~1時間かかることも珍しくなかったという。介護タクシーの配車アプリを使えば、この時間が大幅に削減できるという。

依頼を出すと見積もりが届く

 今月に横浜市西区のIT企業「アイネット」がリリースした「i―CareGO」の仕組みはこうだ。

 まず、スマホにアプリをインストールする。介護タクシーを利用したい人はアプリで自宅の住所や階数などを入力し、さらに車いすや医療機材の種類なども選択したうえで配車依頼を出す。依頼を見た複数のタクシー事業者が見積もりを提示し、利用者はその中から選んで正式に依頼する、といった流れだ。

 アイネットのソーシャルイノベーション本部・坂本博義副本部長(60)は「アプリを使って、移動が難しい方が今まであきらめていた外出を実現できる社会にしたい」と語る。

 介護タクシーを利用する側はアプリを無料で使うことができるが、横浜移動サービス協議会の山野上啓子副理事長(65)によると、一般のタクシーであればワンメーターで行ける距離も、介護タクシーでは介助料などが加わり、6千円近くの料金がかかることもあるという。「移動手段が増えたのはありがたいが、普及のためには行政の補助など支援も必要だ」と語った。

 アプリ「i―CareGO」は、公式サイト(https://www.inet.co.jp/product/dx/i-carego.html)、東京都のIT企業「IT―FORCE」が提供するアプリ「よぶぞー」は(https://yobuzo.jp/)でダウンロードできる。(良永うめか)

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