月から火星へ――。将来の有人探査を見据え、火星探査が本格化している。日本もこれまでの知見を生かし、火星圏からの世界初のサンプルリターンを目指す。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が取り組むのが、火星の衛星フォボス(直径約23キロ)からのサンプルリターン。ミッション名はMMX(Martian Moons eXploration)だ。

 2026年10月ごろの打ち上げを目指して、準備が進められている。約5年かけて、31年7月ごろに地球に帰還するという壮大なプロジェクトで、成功すれば、火星圏への往還飛行、サンプルリターンともに世界初となる。

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フォボス表面で試料を採取する探査機のイメージ=JAXA提供

 「太陽系の中で人類が本格的に調べられていない場所の中で、最も重要なのがフォボス。日本の強みを生かせるのがMMXだ」とJAXAの川勝康弘・プロジェクトマネージャは説明する。

 火星はできた当時は、水がな…

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