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1952年5月19日、プロボクシング世界フライ級チャンピオン、ダド・マリノ(米国)と挑戦者・白井義男のタイトルマッチ15回戦が東京・後楽園スタヂアム特設リングで行われ、白井が小差で判定勝ち、日本人としてはじめて世界選手権を獲得した。写真は、前半、白井選手(左)の左ジャブの間隙(かんげき)を縫って左フックを振りながら飛び込むマリノ選手=1952年5月19日、東京都文京区

 人間活動が地球環境システムを根本的に変え始めたのは、第2次世界大戦後まもない1952年ごろ――。愛媛大や東京大、京都大などが参加する日豪の研究チームが、世界の137地点での地層記録などを過去7700年間にさかのぼって人の影響を示す痕跡を調べ、そんな結果を導き出した。

 核爆発によるプルトニウムなどの放射性核種の急増、ポリ塩化ビフェニール(PCB)といった有機汚染物質やマイクロプラスチックの初検出などが地球規模でみられ、「人間活動が地球システムを支配する力を圧倒し始めたことを示唆している」としている。

 研究成果が米科学アカデミー紀要に掲載された。

 国際地質科学連合(IUGS)の作業部会は10年以上の議論を経て、人類が地球環境を激変させた1950年代以降を「人新世」として新たな地質年代に提案したが、今年3月に上部の小委員会で否決された。いまの完新世が1万1700年前に始まり、その後、8千年前の農耕社会の発展や6500~5千年前の灌漑(かんがい)稲作の発展、1492年~1800年ごろのヨーロッパ人の新世界への到達、18世以降の産業革命など、地球環境に大きな影響を及ぼす様々な出来事があったが、開始年代に時間差があり、地球全体で同時に起こったものではなかった。人間による気候変動の影響が表れたのは1970年代だった。人新世の提案が否決されたのは、いつから始まったかを特定することが難しかったことが一因とされている。

 研究チームは、地層中で人の影響を示す様々な痕跡が地球規模で急激に増加した時点が、人新世の開始時点になりうると考え、世界137カ所の湖沼や海の堆積(たいせき)物、サンゴ、極地のアイスコア、樹木の年輪など338の環境・生物の記録を過去7700年間にさかのぼって、人の影響を示す痕跡を調べた。

 プルトニウムやウランなど核…

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