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久留米信愛高校の食堂に向かう生徒たち=2024年12月10日、福岡県久留米市御井町、太田悠斗撮影
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 1月上旬、久留米信愛高校(私立、福岡県久留米市)の食堂には、二方から冬の長く柔らかな陽光が差し込み、室内を淡いレモン色に染めていた。

【連載】「母校 知っと~?」

あの高校の伝統行事や名物はどう受け継がれている? 令和の時代の学校生活とは? 福岡県内のスクールライフの「いま」を描きます。

 北側から東側にかけ、天井付近には15枚の小窓、東側には高さ3.5メートルの窓ガラスが3枚並び、外をパノラマのように映し出す。窓の先には、緑の葉を揺らす大きなクスノキ。「ヒィーヨ、ヒィーヨ」と甲高いヒヨドリの鳴き声が聞こえる。春は桜が咲き競い、夏は緑の葉が揺れ、秋はモミジが色づき、冬はヒイラギが小さな白い花をつける。

 食堂は1987年に落成。2階には、2023年に廃止した系列短大の学生寮がかつてあり、朝や夜には寮生たちがテーブルを囲んでいた。その名残なのか不明だが、食堂の隅には、鍵がかかり弾くことはできないピアノが2台ある。

 1991年から教壇に立つ田中礼子教諭(56)は「カフェにいるみたい」と表現する。約150席のうち、人気なのは窓ガラスに面した15席のテーブルで、ランチタイムにはすぐ埋まる。3年の高木美邑(みさと)さんは「空いているか、いつも気になる」といい、座れれば外を眺め、長く過ごすという。

 椅子の脚にはゴム製のカバー…

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