岐阜県恵那市にゆかりがあり、書店大手「丸善」創業者の早矢仕有的(はやしゆうてき)(1837~1901)はハヤシライス考案の祖とされる。このハヤシライスをご当地グルメとして恵那の盛り上げに生かそうと市内の飲食店などが立ち上げた団体が、新メニューを開発した。
旧岩村藩(同市岩村町)の医師で、その後、横浜で丸善の前身となる貿易会社を立ち上げた早矢仕有的は、牛肉と野菜の煮込みをご飯にかけた料理を、滋養食として患者に勧めた。これが「早矢仕先生の料理」として後にハヤシライスと呼ばれるようになった、というのが料理名の由来の一説となっている。
ゆかりの地を地域振興に生かそうと2008年に「えなハヤシの会」(当時は別名)が発足。特産の寒天と、寒天を飼料に加えた豚肉を使ったメニューを「えなハヤシ」として現在、市内の6店舗で提供している。
「決壊」しても流れ出ないダム!?
今回、開発した新メニューは「大井ダムえなハヤシ」。同市大井町にある「大井ダム」が今月、完成100周年を迎えることから、ご飯をダムに、ルーを貯水池に見立てた「ダムカレー」のハヤシライス版を作った。参加する6店舗がそれぞれの工夫を加え、税込み1200~1540円で今月から提供している。
ダムカレーはご飯でできたダムを「決壊」させる食べ方が話題になったが、メニューを手がけた「えなハヤシの会」の安藤良一会長(52)は「寒天を入れたハヤシライスのルーは粘度が高いので、ダムが決壊しても流れ出ません」。
ダムの形にもこだわった。横から見ると傾斜がついて台形になっている大井ダムの形を忠実に再現するため、ご飯を入れる型を新たに作り、各店で同じ型を使っている。
安藤会長は「恵那に来てもらいたい、恵那を盛り上げたいという思いで開発した。ぜひ食べてみてほしい」と話している。