上映作品のポスターが掲げられた映画館=2024年9月9日、北京市内、鈴木友里子撮影

 米国と肩を並べる規模までに急成長した中国の映画市場が失速している。かき入れ時である夏休みシーズンの興行収入は、前年に比べ44%の大幅減に。ヒット作不足に加え、経済の不調で消費者の財布のヒモが固くなっていることも要因になっているようだ。

 中国で映画チケットの販売サイトなどを運営する「北京猫眼文化伝媒」の調査や国家統計によると、今年6~8月の中国国内の映画興行収入は116億元(2380億円)だった。厳しい移動制限を伴う「ゼロコロナ」政策が終わって最初の夏休みだった2023年の同時期は、過去最高の206億元を記録していた。コロナ前の19年(178億元)と比べても今年は35%少ない。

 経済成長に伴い、中国の映画市場はコロナ前まで急拡大してきた。11年に115億元だった年間興行収入は19年には641億元と6倍近くに膨らみ、北米に次ぐ世界2位の市場となった。コロナ下で一気にしぼんだ市場が、22年末のゼロコロナ政策終了で大きく盛り返すかに見えたが、その勢いは失速している。

 この夏に不運だったのはヒッ…

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