米国は主力戦車「M1エイブラムス」31両をウクライナに提供する。これより先にドイツも主力戦車「レオパルト2」の供与を発表しており、ロシア軍の撃退を狙うウクライナに大きな戦力を注入する。
バイデン米大統領は25日、戦車はウクライナの戦略目標達成を助けることになると説明。戦車の供給には時間がかかるだろうとしつつ、具体的なめどには触れなかった。
戦車供与を発表するバイデン米大統領
Source: Bloomberg
ドイツは第一弾として連邦軍が保有するレオパルト2A6を14両供与し、3カ月以内にウクライナに届けることができるだろうとの見通しを示した。欧州の同盟国全体では合計100両以上のドイツ製戦車をウクライナに提供する方針だ。
ドイツ、ウクライナに戦車「レオパルト」供与へ-同盟国と100台超 (2)
バイデン氏は「ロシア側には、われわれが瓦解して団結が崩れるとの期待がある。だが、われわれは完全で徹底的、全面的に団結している」と述べた。
米国とドイツの決定は、ロシアへの対抗でウクライナにより強力な兵器を供与する同盟国の流れに沿ったものだ。北大西洋条約機構(NATO)は対ロシアで結束していたが、戦車供与を巡っては団結を脅かす緊迫した議論が数週間にわたり続いていた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は米国に最新鋭の戦車を供給するよう強く迫っていた。米国はこの要求に対し、エイブラムスはジェット燃料を使用するほか、長時間に及ぶ訓練や大規模な後方支援も必要になるためウクライナには不向きだとして応じてこなかった。
Who Has the German Battle Tanks Sought by Kyiv?
Leopard 2 inventory by country
Source: International Institute for Strategic Studies
侵攻開始から11カ月となり、NATOとロシアの全面戦争勃発への恐れが後退するにつれ、ウクライナ支援国は数カ月前に供与など考えられなかった対空防衛システムやドローンなどの兵器を提供し始めた。焦点は今や、侵攻初期に占領された地域からロシア軍を駆逐することへと移った。
ショルツ独首相は25日に下院に宛てた声明で、「われわれがいま話しているのは、極めて効果的な兵器システムについてだ」とし、自身の政策は単独行動ではないと述べた。
バイデン氏は25日にショルツ氏のほか、フランスのマクロン大統領、イタリアのメローニ首相、英国のスナク首相とも協議した。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は今週ワシントンで欧州側とウクライナ支援について議論していると、当局者が明らかにした。
米国のM1エイブラムスはゼネラル・ダイナミクスが製造する戦車で、ウクライナ安全保障支援イニシアチブ(USAI)の下で提供される。供与されるエイブラムスがどの型式か、新たに製造されるのか修理・調整されたものか当局者は明らかにしなかった。米国はまた、装甲回収車「M88」を8両供与する。
戦車の操縦・保守管理に関する訓練はすぐにも始まる見通しだと、複数の当局者が記者団に述べた。訓練場所の特定は避けた。エイブラムスはウクライナに不向きだとの主張を変えたのはなぜかとの質問に対しては、バイデン氏は同盟国の団結を優先していると当局者は強調した。
原題:Biden Says US Will Send Tanks to Ukraine in Broad Allied Effort(抜粋)