9月17日、中国政府上層部の解任や交代が相次ぐ中、李尚福国防相の動静が不明になっている問題は習近平国家主席の統治に対する各国外交官やアナリストの不安を高めている。南ア・ヨハネスブルクで8月23日、代表撮影(2023年 ロイター)
[北京 17日 ロイター] – 中国政府上層部の解任や交代が相次ぐ中、李尚福国防相の動静が不明になっている問題は習近平国家主席の統治に対する各国外交官やアナリストの不安を高めている。
ロイターは15日、8月下旬から動静不明となっている李氏が軍事装備品の調達に絡んで調査を受けていると報じた。 もっと見る
7月には就任からさほど経っていない秦剛外相(当時)がほとんど何の説明もなく解任されたほか、核兵器を運用する「ロケット軍」の司令官らが突然交代した。
習主席は内向きの姿勢を強めており、今月インドで開催された20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を中国指導者になって以来初めて欠席した。
一部の外交官やアナリストは習近平体制の本質を見極めようとしている。
元米国防総省幹部で、シンガポール国立大学の研究員を務めるドリュー・トンプソン氏は「はっきりとした評価が必要だ。単にパートナーか競争相手かという問題ではなく、中国は経済的、政治的、軍事的リスクの源になっている」と指摘。透明性が欠如しているため、「中国を巡る信頼の危機に拍車をかけている」と話す。
中国外務省の報道官は15日、記者団に対し、李国防相の動静不明と調査について状況を把握していないと述べた。
中国の軍部や政府機関は汚職が根深い。習氏の反腐敗弾圧は、共産党全体の政治的粛清を意味すると考えるアナリストや外交官もいる。
メルカトル中国研究所(ベルリン)の主席アナリスト、ヘレナ・レガルダ氏は「どんな理由であれ、このようなことが起こり続けると感じられれば外国人が中国当局者と関わる際の信頼に影響を与える可能性がある」と話す。
<内向き志向反映か>
李氏の問題は習氏が取り立てたエリート層に及んでいることとそのスピードの点で異例だ。
シンガポールを拠点とする安全保障アナリストで、シンクタンク「パシフィック・フォーラム」(ハワイ)の非常勤フェロー、アレクサンダー・ニール氏は「習氏の世界では近しいことが保護を受けられることとイコールではないと分かる」と語る。
あるアジアの外交官は「(李氏の問題が)習氏の内向き志向の強まりを反映しているのであれば中国軍とのよりオープンな意思疎通の拡大を望んでいるわれわれにとって良いことではない」と話す。
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