中国国民、コロナ治療はSNS頼み-政策急転換で政府不信に拍車 – Bloomberg

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中国が新型コロナウイルス戦略を急転換したことが政府の助言や保健当局者への信頼を損ない、国民はコロナ感染症の治療に関する情報をソーシャルメディアのインフルエンサーや著名人に頼っている。

  中国では昨年末の数週間にコロナ対策の制限措置が突然緩和されたことで感染者が一気に増加。これまでほとんどコロナ禍に見舞われていなかった都市や町でも感染が広がりつつある。政府が方針を急転換したため、人々はますますソーシャルメディアに答えを求めるようになり、その結果誤った情報や危険なアドバイスまで増えている。

  変異株「XBB」が下痢を引き起こすかどうか、肺炎の最良の治療法は何かといった一般的なコロナ感染症の治療に関する質問を中国のインターネットで検索すれば、大量の回答がヒットする。ビーガンダイエット(完全菜食主義者の食事)や複数の抗体取得に加え、なかにはネット上の著名人から違法な酵素を購入する方法まである。

北京で病院を通り過ぎる救急車(2023年1月19日)

Source: Bloomberg

  パンデミック(世界的大流行)の間、特に政府のコロナ対策が疑問視されたり、効果がなかったりした場合など多くの国で、検証されていない治療法やネット上のアドバイスにも目が向けられた。主に家畜や人間の寄生虫による病気の治療薬として認可された「イベルメクチン」が米国でもてはやされたのは、その典型的な例だ。

  中国のケースが異なるのは、そうした状況に政府への反発が伴っている点だ。

  中国保健当局からのコロナ関連の助言に関するニュースやソーシャルメディア投稿は度々批判され、信頼性を疑うコメントが相次いだ。当局がコロナを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策から完全にシフトする中、コロナの危険性を警告していた多くの人がほんの数週間で深刻さを軽視するようになった。

  正確で入手可能な医療情報が得られない状況が、既に少なくとも一つの悲劇につながった。中国では「イブプロフェン」などの解熱剤が広範に不足しており、入手できなかった内モンゴル自治区のある家族は12月半ばに動物用の医薬品を服用し、子供2人が肝臓に重大なダメージを負った。

  南洋理工大学のアルトン・チュア准教授(コミュニケーション・オンライン情報学)は、政府の助言に対する反発が危険な先例を作ると指摘。「今後の注目される案件で政府専門家の信頼性が何度も損なわれれば、信頼回復は難しいだろう」と述べた。

  偽情報増加の背景には、中国の経済再開に伴う感染拡大がある。当局の発表によると、春節(旧正月)前の1週間にコロナ関連死者数は1万2600人余りに上ったという。

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