福岡市の不動産会社が、入居者の募集条件に「LGBT不可」と記載された賃貸物件の資料を客に案内していたことをめぐり、性的マイノリティーの当事者らへの法整備をめざす全国組織「LGBT法連合会」が3日、「強い遺憾の意を表明する」と声明を出した。

 「LGBT不可」の記載については、朝日新聞が2日に報じた。

 LGBT法連合会は声明で、「このような表記を用いる商習慣が一般化しているとすれば、差別的取り扱いそのもので、強い遺憾の意を表明する」としている。

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住宅困難の抜本的解決へ 「差別禁止法の実現を」

 不動産会社は、表記について、社内の物件管理のために導入したと説明。「LGBTフレンドリー」の物件を検索可能にするため、物件のオーナーからLGBTカップルの入居に同居承認を得た物件は「可」とし、否定的なところや、確認が取れていない物件は「不可」としていた可能性があると回答している。取材に対し「不適切で、誤解を招く事態であった」とコメントし、表記を改めるとしている。

 LGBT法連合会はまた、根本的な要因は同性カップルらの入居を断る大家が多いことだとの認識を示したうえで、「LGBT不可」の表記は単独の入居も拒むかのようにも読め、顧客に対する会社側の認識の欠如が表れていると指摘している。

 そのうえで、性的マイノリティーが直面する住宅確保の困難を抜本的に解決するには、差別的取り扱いを禁止する法制度の実現が必要だと主張している。

 昨年6月に施行されたLGBT理解増進法では、性的指向などを理由にした「不当な差別はあってはならない」ことが基本理念に据えられているが、差別の禁止規定はない。(榎本瑞希)

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