写真・図版
大阪・ミナミの道具屋筋商店街で食器店を営む千田忠司さん。大阪府と大阪市の商店街をまとめる組織のトップを務める

 来年4月に開幕する大阪・関西万博は、外国人旅行者(インバウンド)をさらに呼び込む契機となるのか。万博を「日本がもうかるイベント」にするにはどうすればいいのか。長くインバウンド需要の取り込みに尽力してきた大阪・ミナミの食器店主で、大阪府下の商店街をまとめる千田忠司さん(74)に万博への期待や要望を聞いた。

 ――万博開催の機運が、地元の大阪ですら盛り上がっていません。大阪府内の約150商店街(計約7200店舗)が加盟する振興組合連合会を率いる立場として、各商店主たちの意向をどう見ますか。

 大阪市内の商店街は別として、府下の多くの商店街は万博がもたらす効果について、まだピンときていない印象です。私は、各商店街の幹部が集まる会合で、万博によって増加が見込まれるインバウンド客の消費を売り上げにつなげるため、万博関連のポスターの掲示やキャッシュレス決済ができるシステム端末の導入を呼びかけています。端末導入には補助を受けられることも説明していますが、商店主らの反応は芳しくありません。大阪を訪れるお客さんが増えることにはおおむね賛成なのですが、万博に関する詳しい情報が入っていないこともあって、「万博はもうけにはつながらない」「インバウンド客が来たらややこしい」と考える人もいるのです。

記事後半では、「まちごと万博」と銘打ち、街ぐるみで万博を利益につなげようとする取り組みと、見えてきた課題とを紹介しています。

 ――「ややこしい」と考えるのは、なぜでしょう?

 インバウンド客を相手にした…

共有