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11月26日、レバノンとの国境近くのイスラエル北部を走るイスラエル軍の戦車=ロイター

 大規模な戦闘状態に入っていたイスラエルが、隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの停戦案に合意した。約2カ月にわたる激しい攻撃にさらされたレバノン市民からは、停戦に向けた期待と不安の声がきかれる。その行方は中東情勢の今後にも大きく影響するとみられるが、ヒズボラの「後ろ盾」のイランも停戦に反対しなかったとされる。背景には、米国のトランプ前大統領の再登板を見据えた戦略もあるとみられる。

 「もう戦争と破壊にはうんざりだ」。レバノン南部ティールで避難生活を送るタクシー運転手ハッサンさん(46)は、イスラエルが停戦を受け入れたことを歓迎した。

 イスラエルの攻撃が本格化した後、最も困ったのは水と食料の確保だったといい、日常的な停電にも悩まされた。ハッサンさんは「そんな環境のなかで、子どもたちと絶え間ない爆撃の音におびえる生活を想像してみてください」と訴えた。

 ただ、停戦が順守されるかどうかは、「国際的な支援が重要になると思うが、ヒズボラとイスラエルの間に信頼関係はないので、悲観的にならざるをえない」と不安を吐露した。

弱体化した「抵抗の枢軸」の代表格

 ヒズボラについては、「国を…

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