記者会見するミャンマーの少数民族代表ら=2024年5月15日、東京都渋谷区、鈴木峻撮影
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 クーデターで政権を掌握した国軍への抵抗を続ける、ミャンマーの民主派と少数民族の代表らが15日、東京都内で記者会見し、国軍による弾圧や現地の戦況について説明した。

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 会見したのは、クーデターで拘束されたアウンサンスーチー氏を支持する民主派らが設立した「統一政府」(NUG)で教育、保健の両大臣を務めるゾーウェーソー氏や、少数民族武装勢力「カレン民族同盟」(KNU)で外交を担うソーニムロド氏ら。

 会見での説明によれば、クーデター当初に国軍が掌握した地域を民主派らが奪還するなどし、現在は国土の65%、56の都市を民主派らが維持している。一方、それらの地域に医療品が行き渡らず予防接種ができないなど、国軍が妨害して医療を武器として利用していると非難。国際社会の支援を求めた。

 国軍と民主派らには、東南アジア諸国連合(ASEAN)が関与して暴力停止などを取り決めた5項目の合意があるが、ゾーウェーソー氏は「あまり成果がない。事態打開のために日本がリーダーシップを発揮して欲しい」と訴えた。

 ミャンマーでは昨年10月以降、国境地帯の少数民族武装勢力が国軍への一斉攻撃を始め、国軍が劣勢に立たされている。

 現地の人権団体・政治犯支援協会(AAPP)の集計などによれば、国軍の弾圧で5千人以上の民主活動家や市民が死亡した。その中には600人以上の子どもも含まれるという。(鈴木峻)

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