東京都内でこの夏、30年以上続いた診療所が閉院した。ドアの貼り紙には、このような内容が書かれていた。
政府が保険証の廃止を決めたため、診療は続けられません――。
閉院から数カ月。男性医師は看板をおろした診療所で連日、自分を頼ってくれた患者たちのために紹介状を書き続けている。
政府は12月にも、紙の保険証の新規発行を停止し、「マイナ保険証」に一本化する方針を示している。閉院を決めた理由を詳しく聞きたい、と男性医師に取材を申し込むと、「手紙でなら応じられる」と返答があった。
本人の許可を得て、手紙の内容から経緯や思いをたどる。
男性医師は、内科や外科など…