横浜開港資料館の中庭にそびえる「たまくすの木」=横浜市中区日本大通
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 170年前の幕末にペリー提督が来航し、横浜に上陸した際、すぐそばでそびえ立っていたタブノキが250年以上の樹齢を重ね、今も生き続けている。横浜開港の歴史を見守り続けてきたこの木の周辺を「憩いの場所」として保全しようと、横浜開港資料館(横浜市中区)が資金を募っている。

 タブノキは、横浜市中区の大さん橋ふ頭近くの横浜開港資料館(旧館は旧イギリス総領事館)の中庭にあるクスノキ科の常緑樹。高さ12メートルで、幅は8メートルを超える。通称「たまくす(玉楠)の木」と呼ばれ、「日米和親条約締結の地に残るタブノキ」として、市の史跡に指定されている。

 江戸時代、横浜が小さな農漁村だった頃からあり、1854年のペリー来航時に艦隊に随行してきた画家ウィルヘルム・ハイネによる「横浜上陸」の中でも描かれている。5年後に横浜が開港され、外国人居留地と日本人市街とを分ける場所に位置していたこの木は、浮世絵にも登場している。

関東大震災で領事館は倒壊したが

 明治・大正期を通じて横浜を…

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