名古屋市内の百貨店では、「節分」(2月2日)に食べると福を招く「恵方巻き」商戦が始まっている。干支(えと)にちなんだものから変わり種まで、工夫を凝らした商品が顔をそろえる。今年は材料の米やノリが不作などで高騰し、価格は昨年に比べて「お高め」という。各店では食べた時の満足感にも力を入れる。
松坂屋名古屋店は30店が約110種類、約1500本を用意する。目玉は、巳(み)年に合わせて「とぐろを巻く」「脱皮を繰り返す」というイメージから着想を得た商品。札幌かに家は「キング&クイーン巻き」(税込み6480円)、ミートデリスギモトは「肉巻き恵方巻き」(同3480円)を開発した。
また、豪華な具材とボリュームたっぷりの「ヘビー」な恵方巻きも登場。魚錠の「豪華海鮮8種のヘビー級恵方巻き」(同9590円)と古市庵の「節分13種のうず潮巻き」(同1674円)は、直径7センチの特大サイズで満足感を味わってもらう。
ほかには米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手が達成した「50―50」にちなんで1本の恵方巻きで二つの味が楽しめる「ハーフ&ハーフ」も。
JR名古屋高島屋や名古屋三越栄店、名鉄百貨店本店では、エビやイクラなど海鮮食材を使った王道の恵方巻きのほか、名古屋グルメのみそカツを巻いたものや、フルーツをスポンジ生地で巻いた恵方ロールケーキの販売もある。
近年、売れ残りによる食品ロスが問題視されていて、各店では廃棄が出ないように販売本数を限定したり、ウェブや店頭での事前予約を呼びかけたりしている。
松坂屋の販売担当者は「材料費が高騰しているが品質を維持し、満足感を高める工夫をしている」といい、「当日は売れ行きを見ながら判断し、全部売り切りたい」と話す。
今年の恵方は「西南西」。国立天文台によると、暦のうえで今年の立春は2月3日となり、前日の節分は2月2日となっている。