
ロシアのウクライナ侵攻をめぐる米ロの停戦交渉が始まり、トランプ米大統領は、プーチン大統領との「ディール」(取引)で停戦を実現する考えです。ただ、モスクワの有力シンクタンク「ロシア国際問題評議会」の政治学者であるアンドレイ・コルトゥノフ氏は「プーチン氏の視点は少し違う」と語ります。
- ウクライナの頭越しにトランプ氏と交渉開始 プーチン氏の思惑は
――トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の関係が悪化しています。米ロ協議への影響をどう見ますか。
「米ロの関係修復の一環として、ウクライナに関する協議は続くだろう。最終的な解決に向けた意見交換もあるかもしれない。ただ、ウクライナと欧州主要国抜きで、安定した平和の実現は不可能だ」
「決定的な決裂になるかを話すのは時期尚早だ。米国の前政権の決定はしばらく有効で、米国にはゼレンスキー氏に賭け、ウクライナを支援したい根強い勢力もある。米国がウクライナに背を向けたというのは正しくなく、2国間の関係をこれほど突然、明確に絶つことはできないと考えるべきだ」
――プーチン氏は昨年、交渉開始の条件として、一方的に併合宣言したウクライナ4州からの同軍撤退や、北大西洋条約機構(NATO)加盟断念などを挙げました。いまもプーチン氏は妥協の姿勢を見せていませんが、気まぐれなトランプ氏の言動は、ロシアにもリスクになりますか。
「もちろん、すべての国にリスクはある。トランプ氏が『できることはやった。言うことを聞かないなら』と、ウクライナの和平から手を引き、中東や中国など別の問題に関心を向けるかもしれない」
――現時点での米ロ協議への評価は。
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