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ロシアから見える世界

 みなさん、こんにちは。ロシアがウクライナへの全面侵攻を始めてから3年が経ちました。トランプ米大統領の再登場で、事態が大きく動こうとしています。それも、良くない方向に。

 私が今思い起こすのは、安倍晋三元首相がロシアのプーチン大統領を相手に前のめりに進め、失敗に終わった平和条約交渉のなりゆきです。二つの交渉の類似点については、今回のニュースレターの後半で取り上げます。

 前々回のニュースレターで私は、トランプ氏がプーチン氏と直接会ったら「トランプ氏の頭の中がプーチン氏に上書きされてしまう可能性は否定できません」と書きました。

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プーチン氏に乗っ取られたかのように

 しかし、直接会う必要さえなかったようです。2月12日にプーチン氏と1時間以上電話をしてからというもの、トランプ氏の数々の発言や発信は、まるでプーチン氏に脳を乗っ取られてしまったかのようです。

  • トランプ氏、ゼレンスキー氏を「独裁者」と反撃 非難の応酬が激化

 トランプ氏は、ウクライナで続く戦争について「始めるべきではなかった。取引をすることもできたはずだ」と表明しました。

 もちろん、戦争を始めたのはロシアです。ウクライナではありません。欧米がウクライナを手先に使ってロシアを弱体化しようとしたため、ロシアは軍事作戦を始めるしかなかったというのは、プーチン氏の論法そのものです。

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2019年6月28日、主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれた大阪で会談するロシアのプーチン大統領(左)とトランプ米大統領(当時)=ロシア大統領府の公式ページから

 トランプ氏はゼレンスキー氏を「さしたる成功も収めていないコメディアン」とこき下ろして、以下のように述べました。

 「彼は選挙を拒否し、ウクライナの世論調査では(支持率は)非常に低く、得意なのはバイデン(前米大統領)を操ることだけだった」

 トランプ氏は、ゼレンスキー氏のことを「選挙を行っていない独裁者」とも呼んでいます。ゼレンスキー氏の大統領としての正統性を疑問視する外国の首脳は、これまではプーチン氏だけでした。

 確かに、2019年に初当選…

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