プラスチックごみ汚染に対処するための国際条約の策定に向けた交渉会合が25日、韓国の釜山で始まった。規制のあり方などをめぐって意見の隔たりが大きく、議論は難航が予想される。12月1日までの1週間の会期で、各国は条約内容の合意をめざす。

プラスチックごみ汚染に対処するための条約づくりに向けた開かれた交渉の全体会合=2024年11月25日午前10時29分、釜山、玉木祥子撮影

 世界で深刻化するプラごみ問題が関わる分野は広い。石油を原料とし、環境中では分解されずに残り続けるからだ。海岸への漂着ごみをはじめ、生産や処理に伴う温室効果ガスの排出、生物への悪影響も指摘される。

 条約づくりが具体化したのは2022年の国連環境総会。5回の交渉会合を開き、24年末までに条約の中身をまとめることが決まった。今回が5回目の会合だ。

 経済協力開発機構(OECD)によると、プラの生産量は20年に約4億3500万トン。このままだと40年には、約7億3600万トンに達する。排出量や、不適切な処理などで環境中へ流出する量も大幅に増える恐れがある。川や海への蓄積量は20年時点で推定1億5200万トンだったのが、40年には同3億トンになると見込まれている。

 環境中に流出したプラごみは紫外線や海の波などによって細かくなり、5ミリ以下のマイクロプラスチックとなる。生物への悪影響や、体内に取り込んだ魚を食べることなどによる人の健康へのリスクも懸念されている。

 OECDは、40年までの環境へのプラ流出は、現状のままでの推定より96%も削減可能とする。ただ、生産、使用、リサイクルや処理などの「ライフサイクル」全体にわたる、世界全体での強力な対策が必要となる。

 一方で、身近で便利な素材なだけに、条約の内容次第では産業構造や私たちの生活に影響が出てくる可能性がある。ライフサイクルのうち、「上流」にあたる生産の規制をめぐる各国の意見の隔たりは、特に大きい。

 独自に規制を強化する欧州や…

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