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厚生労働省

 ブタの臓器をヒトへ移植する「異種移植」について、厚生労働省は、異種移植に特化した審査委員会を新設する方向で検討に入った。国内でヒトに移植される前に、その計画に問題がないか、この委員会が審査する。同省が20日、再生医療に関する専門家部会の会合で提案し、了承された。

 動物の臓器や組織をヒトへ移植する技術は、日本では「再生医療安全性確保法」で規制され、3段階のリスク分類でもっとも高いものに分類される。同じ分類のiPS細胞を投与する研究などを実施する場合は、①厚労省が認定する「特定認定再生医療等委員会」②厚労省の部会(再生医療等評価部会)で順に審査され、研究計画に問題がないか事前に確認されることになっている。

 ただ、異種移植をめぐっては、特有の技術的、倫理的な論点だけでなく、本来はヒトに感染しない新たな感染症が発生する可能性への対処など、より専門的な審査が必要だと指摘されていた。

 厚労省はこの日の部会で、異種移植に関する研究計画では、①と②の間に新たに「予備的な評価の場」として同省内に審査委員会を設けることを提案した。異種移植に関する現在の指針では、①の前段階でも、実施する医療機関の中で特別な審査委員会を設けることを求めているため、異種移植を計画している研究者などは、実施前に4段階の審査を通すことになる。

 同省によると今後の部会で、どんな専門家が審査にあたるかなど、体制についての詳細を検討するという。

 異種移植をめぐっては202…

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