アイスホッケーのプロチーム「名古屋オルクス」が今春発足した。競技人口が少なく厳しい経営環境の中、全選手が地域のスポンサー企業でフルタイム勤務する「デュアルキャリア」を採用。選手に働く場を確保し、中小企業には人材を送り出すことで、フィギュアスケートが盛んな愛知にアイスホッケーの文化をはぐくむ狙いがある。
「では、ここから入力をお願いします」。2月中旬、名古屋市の老舗酒卸「秋田屋」本社ビル。声をかけられると、「名古屋オルクス」の副キャプテンを務める土屋光翼(こうすけ)選手(25)はその日の出入金を数え、パソコンに入力し始めた。
最近、経理を任されるようになり、教わりながら学ぶ日々。「早くマスターしたい」と意欲を見せる。
土屋選手はプロチーム「横浜グリッツ」を経て、昨年10月からオルクスに加入した。同時に、秋田屋の社員になった。
「やらなきゃと覚悟を決めてきた」という。朝から夕方まで働いた後、週3、4回は午後10時過ぎから練習で、土日は試合だ。
秋田屋の浅野弘義社長は「体育会系の人材は、中小企業にとって手が届きにくい存在。戦力として期待している」と笑顔だ。名古屋周辺は自動車をはじめとした大手メーカーの人気が根強く、「中小企業は採用が難しいエリア」だという。
同社では名古屋市の女子サッ…