パワーハラスメントの被害を訴えた職員と加害者とされる職員を同席させて事情を聴き、独断でパワハラはなかったと判断――。そんな不適切な対応をしたとして、福島県は6日、本庁機関管理職員の50代男性を戒告の懲戒処分にし、発表した。
県人事課によると、この管理職員は昨年6月、部下の職員からパワハラを受けていると相談を受けた。そこで管理職員は、この職員と、加害者とされる部下の職員(50代管理職)を同席させ、それぞれの言い分を聞いた。そのうえで「パワハラには該当しない」と独断で判断し、人事課などに報告しなかった。
県のパワハラ防止マニュアルは、当事者への意見聴取は個別に行うよう定めている。
後日、パワハラを訴える職員が県の公益通報窓口に「加害者と同席で言いたいことが言えなかった」と相談した。
県は改めて当事者に個別に事情を聴き、同僚職員らにも話を聞いたうえで、強い口調での叱責(しっせき)や発言の強要、懲戒処分をちらつかせるなどのパワハラがあったと認定。加害職員を6日付で減給1カ月の懲戒処分にした。
戒告処分を受けた管理職員は県人事課の聞き取りに対し、「部下2人の話を聞く前からパワハラだとは思っていなかった。話を聞いた後の現在もパワハラだとは思っていない」と話し、2人を同席させたことについても「不適切だとは思っていない」と話したという。
この管理職員は2023年、別の部下の職員が取得を申請した時短勤務についても「配偶者と協力して働けるだろう」などと判断し、申請を認めなかった。この件についても「不適切な対応とは思っていない」と話しているという。
県人事課の担当者は「考え方が今の世の中の常識にアップデートされていない。折にふれて、『その考えは今の時代、アウトですよ』と指導していくしかない」としている。