パキスタン軍は12日、軍の諜報(ちょうほう)機関「軍統合情報局(ISI)」のファイズ・ハミド元長官を逮捕したと発表した。ISIは国内政治や地域情勢に影響力を持ち「影の政府」と称される強力機関。そのトップだった人物の逮捕は前例がなく、内外で衝撃が広がっている。
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軍の発表によると、直接の逮捕容疑は、首都イスラマバード近郊の宅地開発に絡み、職権を乱用した疑い。それ以外にも「複数の軍法違反が確認された」という。軍法会議にかける方針だ。
パキスタン軍は1947年の独立以降、4回クーデターを起こし、約30年間は軍が統治。文民時代も軍が政権の浮沈の鍵を握り続けた。ISIはその政界工作を担ってきたとされる。
軍事・外交面でISIは、隣国アフガニスタンへの旧ソ連軍による侵攻(79~89年)に対して、「ムジャヒディン」と呼ばれるイスラム勢力の抵抗作戦を組織。96年のタリバン政権発足も後押しした。2001年の米同時多発テロの後、アフガニスタンに新政権が誕生すると、パキスタン側から越境ゲリラ攻撃をしかけるタリバンをISIが支援していると、米政府などが非難した。
「メディア、政治家、司法をコントロール」
今回のハミド氏の逮捕は、I…