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タイ北西部メソトの市内から北へ車で30分。1月に設置されたというタイ軍の検問を3カ所通過し、でこぼこ道を走ると、国境を流れるモエイ川の向こう側に巨大な建物群が見えてきた。カジノやホテルが並び立つミャンマー東部シュエコッコの街だ。
9カ月前の訪問時には、青や金、ピンク色のネオンがシュエコッコの夜空を照らしていた。だが21日の日没後、タイ側から望んだ対岸は薄暗く、白い電灯だけがともっていた。発電機と思われる稼働音が聞こえる。
ネオンが消えたのはタイ政府が電力の「越境供給」を止めたからだ。ミャンマーはかねて電力不足で、東部の国境地域では電力や燃料などを身近なタイから購入してきた。だが今月、世界的な犯罪拠点としてこの地域に注目が集まり、タイ政府は5日、「安全保障上の脅威」と判断して供給停止を決めた。タイメディアによると、政府は1996年、タイの地方電力公社による供給を承認。契約違反や国の安全保障への影響があった場合、供給を止められる仕組みだったという。
ミャンマー側住民にも打撃
「ここ1カ月弱で客足が途絶…