トランプ米大統領が就任してから10日。選挙前にあれだけ主張していた中国に対する60%の関税を、現時点では封印している。まずは移民やエネルギーなど国内問題を優先しているが、水面下で中国の習近平(シーチンピン)国家主席との直接ディール(取引)に備えているとの見方もある。第1次トランプ政権の元高官や米専門家とともに意図を読み解いた。
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20日の就任演説。トランプ氏が「中国」という言葉を使ったのはわずか2回。それも「パナマ運河を取り戻す」と述べた際、中国が運河を運営している、中国には渡さないと主張したときだけだった。
翌21日、「中国(からの輸入品)に10%の関税をかけることを議論している。2月1日かもしれない」と記者団に述べた。しかしこれは、米国で過剰摂取により年数万人が死亡している合成麻薬フェンタニルが、中国からメキシコやカナダ経由で米国に流入していることが理由だ。貿易不均衡や製造業の国外流出を防ぐためとする本丸の「60%」には触れていない。
中国だけでなく、世界中が就任初日の「トランプ関税」に身構えていただけに、少し安心感が広がり、香港や東京市場の株価は上昇した。
トランプ氏が、いまなお対中関税に踏み込まないのはなぜか。
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