ウクライナのゼレンスキー大統領(左)とトランプ米大統領=ロイター

 ロシアによるウクライナ侵攻の早期停戦に向け、ロシアとの直接交渉を急ぐトランプ米政権が、国連や主要7カ国(G7)といった多国間の協議の場でもロシア寄りの姿勢を露骨に打ち出し始めた。ロシアに対し団結して厳しく対処してきた欧米の亀裂はかつてないほど深まり、侵攻の張本人であるロシアとそれを容認するかのような米国の「共同歩調」は、国際秩序を揺るがし始めている。

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 「私はディール(取引)をする。私の全人生はディールだ。私が就任する前、ロシアとのコミュニケーションはまったくなかった」

 トランプ米大統領は国連安保理会合が開かれた24日、記者会見で、ロシアを孤立させようとしてきたバイデン前政権を批判。自身が始めたロシアとの直接交渉で「素晴らしい話し合いを重ねてきた」と誇った。

 大統領選中から「24時間以内に戦争を終わらせる」と豪語してきたトランプ氏は、ロシアとの直接交渉による停戦という「成果」を急ぐ。今月12日にロシアのプーチン大統領と電話で協議すると、戦争の終結に向けた交渉開始で合意。18日にはサウジアラビアで米ロの外相ら高官が直接協議を行った。

 一方でトランプ氏は、ウクライナを軽視する姿勢をあらわにしている。ゼレンスキー大統領を「独裁者」と呼んだほか、「取引ができたはずだ」などと侵攻が始まった責任をウクライナ側に押しつけるかのような発言まで飛び出した。

 今回の国連などでの米政権の…

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