トランプ米大統領は2度目の就任直後から多くの「大統領令」に署名し、前政権の政策を覆しながら自身の公約実現に突き進んでいます。この大統領令の運用は識者の目にどう映るのか。米国政治、特に大統領令に詳しい東京大学大学院法学政治学研究科の梅川健教授に聞きました。

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2025年1月20日、米ホワイトハウスで、署名した大統領令を掲げるトランプ大統領=ロイター

 ――そもそも「大統領令」とはどういうものですか。

 大統領は合衆国憲法で、外交と安全保障を担うとともに、各種の法律が誠実に執行されているかを監督する義務を負うとされています。

 これを根拠に、行政組織に対して法律をどう執行するかを命令できます。いわゆる「大統領令」です。

 日本語では「大統領令」とまとめられてしまいがちですが、大統領令は主に「行政命令」(executive order)、「大統領覚書」(presidential memorandum)、「布告」(proclamation)に分けられます。より重要なのは行政命令と大統領覚書です。

 今日でも憲法に規定されていませんが、20世紀以降、行政組織に対する命令文書の形式は徐々に整えられてきました。

カギは「根拠となる法律の明示」だが

 ――行政命令と大統領覚書の違いは何ですか。

 行政命令とは、どのように法…

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