2019年6月、大阪で開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)にあわせて会談した米国のトランプ大統領(当時、左)と中国の習近平国家主席=AP

 米トランプ前大統領の再登板により、中国との間で激しい貿易摩擦が再発する懸念が強まっている。「タリフ(関税)マン」を自称するトランプ氏は全中国製品に60%の高関税をかけると公約。強行すれば、経済が減速する中国への打撃はもちろん、米国自身も無傷ではいられない。

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 トランプ氏は選挙戦中、関税について「辞書のなかで最も美しい言葉だ」と語った。次期政権でも関税をフル活用する考えだ。

 2017~21年の前政権時は、鉄鋼をはじめとする中国からの広範な輸入品に7.5~25%の「トランプ関税」をかけた。中国も報復関税で応酬し、「貿易戦争」とも呼ばれる事態に発展した。

 トランプ関税の多くはバイデン政権でも維持されたが、新たに中国からの輸入品に一律60%の関税をかけるという。トランプ氏は貿易赤字を、他国から「搾取」されている証左だとみる。巨額の対米黒字を抱える中国はその典型だ。

他国の「便乗引き上げ」もあるか

 高関税をかければ税収が増え…

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