現場へ! 「公的な私文書」を生かす②
和田純・神田外語大学名誉教授はかつて、特殊法人・国際交流基金に勤務していた。役員に佐藤栄作首相の首席秘書官だった楠田実氏がいて、部下として支えた。
その縁で、膨大な「楠田実資料」の整理と公開に取り組む。楠田氏が残した文書約7900点を整理し、ネットで見られるようにした。
昨年末、東京都内で和田氏に話を聞いた。
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和田氏らは1990年代後半、「楠田実日記―佐藤栄作総理首席秘書官の2000日」の編集作業に取りかかった。楠田氏に「日記の内容を裏付ける資料を」とたびたび頼んだ。が、「パラッ、パラッとしか出てこない。すごく慎重だった。政権の裏側をどこまで明かしていいものか、悩んでいたと思います」。
2003年秋に楠田氏が亡くなり、家族から大量の文書の引き取りを頼まれた。「自分の車で何往復もして運んだ。段ボール142箱になり、家の中を歩けなかった。大学の研究室へ移すと自分が入れなくなるほどでした」
和田氏は当初から、米国で進むデジタルアーカイブ化を意識した。「家庭のパソコンで史料が読めるようになれば、歴史が広く共有される」
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