放送された「激録・警察密着24時!!」から

 テレビ東京などが昨年3月28日に放送した「激録・警察密着24時!!」に過剰な演出や不適切な内容があった問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は、同番組について審理に入ると公表した。決定は18日付。

 この番組は、人気漫画「鬼滅の刃」のキャラクターを連想させる柄や文字の入った商品を販売したとして、会社役員らを不正競争防止法違反の疑いで愛知県警が捜査した事案を取りあげていた。テレ東は、逮捕された4人のうち3人が不起訴になっていたことを放送で言及せず不適切だった▽「逆ギレ」や「今度は泣き落とし」といった刺激的なナレーションを多用したり、「“ニセ鬼滅”組織を一網打尽」といったテロップを使用したりして配慮を欠いていた――などとして、今年5月28日に放送や公式サイトなどで謝罪。その後、警察密着番組の制作中止や関係者の処分を公表した。

 BPOによると、会社役員側は「(番組が)4人の名誉を著しく傷つけた」として苦情を申し立てた。捜査員同士の会話や会議の様子が事後に撮影されているのに、捜査の時系列に沿っているかのように番組が構成されている点も、「視聴者を混乱させ、許容される演出の範囲を大きく逸脱している」などと主張している。また、テレ東のおわび放送などには一定の評価をしている一方、警察署内での事後撮影をめぐるテレ東側の見解や、テレ東が番組制作過程を明らかにしなかったことなどには納得していないという。

 テレ東は審理入りを受けて19日、「本事案を重く受け止め、審理には誠実かつ真摯に対応してまいります」などのコメントを発表した。

 BPOの放送人権委は、放送によって人権を侵害されたといった苦情を受け付け、当事者と放送局との話し合いで解決しない状況になっているなどの要件を満たせば審理する。問題があったかどうかは、委員会が今後の審理で判断する。(照井琢見)

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