和歌山県広川町に伝わる逸話「稲むらの火」。1854(安政元)年の安政南海地震の際、実業家の浜口梧陵(ごりょう)が、わらを積み上げた束(稲むら)に火をつけ、住民を高台へと誘導して守ったという話だ。
そんな逸話を知りたいと、4月中旬、浜口梧陵記念館と津波防災教育センターが一つになった「稲むらの火の館」を訪ねた。
センターでは、3Dシアタールームで稲むらの火を伝える再現映像を見た。
心地よい陽気の日だった。地震後に梧陵が主導して築いた堤防「広村堤防」を歩いた。
正午が過ぎた。稲むらの火を題材にしたメニューがある。ぜひとも食べてみたい。約束の時間に間に合うように車を走らせた。
5分ほどで、JRきのくに線広川ビーチ駅前にある「町立ふれあい館」に着いた。逸話の名を冠した「稲むらの火カレーうどん」(700円)。「普通」「中辛」「激辛」の中から、「中辛」を選んだ。
「お待たせしましたー」
直径30センチ、深さ13センチの大きな器が差し出された。
中心部がこんもりとしている…