記者コラム 「多事奏論」 編集委員・稲垣康介
パリのセーヌ川は、お世辞にもきれいとは言えない。五輪開幕の直前、パリ市のイダルゴ市長が、その川で泳いだ。
水質の汚染でほぼ1世紀、遊泳が禁止された川をきれいにして、トライアスロンの舞台にする。それは7年前、招致決定時からの彼女の肝煎りの構想だった。約14億ユーロ(約2255億円)を投じ、雨水をためる巨大な地下貯水槽も出来た。
開幕前、私が川べりで見つめたセーヌの水面は濃い緑色。真夏日でも、飛び込みたい衝動には駆られなかった。
そんな川を市長が泳いでみせ…