写真・図版
シリアの首都ダマスカスで2025年2月25日、国民対話会議に参加する人々=ロイター

 アサド前政権が崩壊したシリアの首都ダマスカスで24~25日、シリア各地の宗教指導者や市民社会の代表者らが参加する「国民対話会議」が開かれた。会議では内戦で分裂したシリアの統一や主権の維持を確認するとともに、暫定政権軍以外の武装組織を「非合法」とみなすとする声明が採択された。一方、会議に招待されなかったクルド人勢力は反発しており、暫定政権が目指す国民の融和が実現するかは依然として不透明だ。

 10年以上にわたって内戦が続くシリアでは昨年12月、過激派組織「シャーム解放機構」(HTS)が率いる反体制派が、父子2代半世紀にわたってシリアを強権統治したアサド政権を打倒し、政権の移行を担う暫定政権を発足させた。暫定政権はクルド人やキリスト教徒、イスラム教ドルーズ派といった少数派や女性を包摂した、自由で公正な統治を行うと主張している。会議の開催はその実現に向けた一歩として位置づけられ、経済制裁の解除を検討する国際社会からも注目が集まっていた。

 AP通信によると会議には約600人が招待され、新憲法の構成や経済改革などが議論された。採択された声明では、新憲法が制定されるまでの暫定的な憲法宣言の発布や、シリア領内への侵入を続けるイスラエルが撤退することの必要性も強調された。声明は拘束力を持たないが、暫定政権に対する提言として受け止められるという。

 暫定政権のシャラア大統領は…

共有