滋賀・岐阜県境にある日本百名山の伊吹山(標高1377メートル)が「満身創痍(そうい)」だ。7月の大雨では土石流が3度発生し、大量の土砂がふもとの集落に流入した。台風の時期を前に滋賀県と地元の米原市は対策を急ぐ。伊吹山で一体何が起きているのか。今月2日にあった平尾道雄市長の現場視察に同行した。
昨夏の豪雨でも土砂崩れがあり、ふもとからの登山禁止が続いている。関係者用の作業道を車で進む。約20分で3合目(標高720メートル)に到着した。
3合目付近はなだらかな草地が広がる。大きなくぼ地に、山の斜面から流出した大量の土砂がたまっていた。土砂はこのくぼ地を経由し、西側の勝山谷川に注ぎ土石流が発生した。県は緊急対策として今月中旬までに、川への土砂落下を防ぐ袋詰め玉石(1トン)を幅30メートルにわたり設置する計画だ。
4合目(標高800メートル)に向かう作業道の両脇に土砂がうずたかく積まれていた。直径1メートルに及ぶ岩もある。そばにU字形の大きな溝があった。深さ、幅とも約3~4メートルで、両端は垂直にえぐられている。昨夏の豪雨で削られ、7月の大雨で更に深く、広くなったという。
5合目(標高880メートル)。傾斜がきつくなるため、車で行けるのはここまでだ。5合目から見上げると、山頂から幾つも谷筋が走っているのがわかる。市によると、深さ3メートルほどの水路になっており、4合目付近にあった大きな溝につながっている。
「以前は小さな水の道だった…