フランシスコ・デ・ゴヤ「戦争の惨禍」から5番「やはり野獣だ」(1810~14年ごろ)国立西洋美術館蔵

 スペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤ(1746~1828)が手がけた版画集「戦争の惨禍」の全場面が、東京・上野の国立西洋美術館で展示されている。戦時下の惨状を鋭い視点でとらえ、人間の闇をあぶりだす82点は、「普遍的」と言うしかないほど、現在に符合してしまう。

 「戦争の惨禍」は、1808~14年のスペイン独立戦争を主題に作られた。ゴヤの生前には公開されず、1863年に80点からなる初版が出版され、同館はこの初版を収蔵。初版には含まれていないが番号が振られた2点も収蔵し、計82点を一挙に紹介している。

 同館では、うち37点はこれまで展示したことがなかったという。川瀬佑介主任研究員はウクライナやパレスチナなど「戦争が相変わらずなくならない世の中に、目を向けてもらうきっかけになる展示ができないかと考えた」と言う。

 目をそむけたくなるような虐…

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