山の緑が映える海辺の空き地に、テーブルが六つとカウンター席が三つ。初夏の穏やかな晴天に恵まれた島根県大田市温泉津町(ゆのつちょう)で、ローカルフードラボ社長の佐藤聡さん(43)はランチに訪れるお客を出迎えた。自然の風景を丸ごとインテリア代わりにしたようなキャンピングレストランだ。
同県邑南町(おおなんちょう)で営む里山レストラン「AJIKURA」からこの朝、シェフらと約45分かけて車でやってきた。調理台にもなるカウンター、グリラーや鍋など調理器具や資材一式を、トレーラーのように引っ張ってきた。
パスタセット(2750円)の前菜は山陰産のヒラメのカルパッチョ。添えられた野菜は邑南町の地元農家に育ててもらったベビーリーフ、タマネギ、サニーレタス、水菜だ。イカスミパスタは浜田産のモンゴウイカ。デザートの「野菜のパンナコッタ」は新タマネギと甘夏のソース。コース料理の肉や魚の焼ける香りがキャンプの気分を誘う。
横浜生まれの埼玉育ち。東京から邑南町に移って10年。転機はコロナ禍だった。
広島市中区のタワービルで営ん…