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コロナ禍で運転免許が取れなかったことで退職に追い込まれ、自殺した――。中古車販売大手の旧ビッグモーター(BM)の男性社員(20代)の遺族が28日、労災の不支給決定の取り消しを国に求める訴訟を東京地裁に起こした。
訴状などによると、男性は2020年4月に新卒で入社。入社条件だった運転免許は、コロナ禍で教習所が休業しており、取得できなかった。配属された都内の店舗の店長はこれを容認していたが、翌5月8日に本社側が店舗や周辺の清掃状況をチェックする「環境整備点検」があり、店長が男性の免許未取得を本社側に報告していないことが発覚したという。男性は同日、免許取得をめぐって「虚偽報告」したとして退職勧奨を受け、その日のうちに退職。同月末に自殺したという。
遺族は「執拗(しつよう)な退職勧奨」があったとして労災を申請した。しかし、八王子労働基準監督署は23年2月、内容や頻度などから「退職強要とはいえない」として遺族補償給付などを不支給とした。これに対して遺族は、退職勧奨は「(男性が)人格を否定されたと感じる方法だった」などとして決定は不当と訴えた。
「絶望の底に突き落とされた」
遺族の代理人の指宿昭一弁護…