午後6時、照明がともった日本航空高校石川(石川県輪島市)の野球部グラウンド。薄暮のなかボールを追う球児たちに、監督の声が飛ぶ。
「今年の夏の甲子園は2部制。ナイターになると見にくいからな」。夢舞台の「夕方の部」にたとえて部員を鼓舞する。
練習していたのは、約10キロ北にある輪島高校(同市)の野球部員たち。春季北信越地区高校野球県大会の初戦が28日に迫る。
輪島の部員13人は、元日の能登半島地震で練習場所を失った。
いつも使っていたのは自校から1.5キロほど離れた閉校した高校のグラウンド。
地震で右翼側が崩壊し、深さ1メートル超の亀裂が地面に走った。
学校からグラウンドにつながる道は崖が崩れて通行止めになり、ダッシュ練習を繰り返した思い出の坂道も崩れた。
一帯には今も避難指示が出されている。
自校の校庭も自衛隊車両が出入りしたため凹凸が激しく、練習には使えない状態だ。
みなし仮設の監督宅に部員10人泊まって
今春の選抜大会出場校、日本…