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 キダ・タローさんは「浪花のモーツァルト」というよりも、むしろ「浪花のショパン」だった――。東京五輪の開閉会式とパラリンピックの開会式で音楽監督を務め、FPMの名義でも活動するDJ・プロデューサーの田中知之さん(57)は、14日に亡くなったキダさんについて、そう評する。

 田中さんは京都市出身で、キダさんと同じく関西人。CMの作曲依頼を受ける際、キダさんの曲のようにキャッチーでグルーブ感のある音づくりを意識しているという。

 制作の過程で「だめだ。まだまだキダ・タロー感が足りない」と、共同制作者と話すこともある。「エンニオ・モリコーネやバート・バカラック、アントニオ・カルロス・ジョビンに憧れたところで、それ以前に関西人の私のベースにはキダ先生の曲の数々がある」

 以前、キダさんがインタビューで「実はモーツァルトよりも、ショパンのほうが好き」と語っていたことを覚えているといい、「確かに作風を考えると、僕はキダ先生は『浪花のショパン』のほうが正しいように思う」と分析する。

「モーツァルトって、実は……」

 「モーツァルトって、あまり…

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