定置網を引き上げる漁師たち=南郷漁協提供
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 サケの不漁やブリの豊漁――。北海道や東北・三陸沖など北日本で知られる「海の異変」が、九州でも起きている。沖縄など南西諸島で見られるカラフルな魚が定置網にかかり、水温の上昇に適応した「したたか」な魚」の存在も最近の研究で明らかになりつつある。これまでの常識が通じない海が、現れている。

 宮崎県南部、日南市の目井津(めいつ)漁港。南は沖縄近海から、北は三陸沖まで半年以上も旅する近海カツオの一本釣り漁船団の母港だ。地元で水産会社を経営する南郷漁協組合長の元浦亮さん(72)は10年ほど前から海の異変を感じている。

 大型の定置網漁でアジやサバなどの大衆魚を狙うが、ハタ類のような沖縄で捕れるカラフルな魚や、暖かい海を好むタカサゴ(グルクン)などが網に入るようになった。グルクンなどは、まとまった量が捕れない「未利用魚」扱いで、市場にも出しづらいという。元浦さんは「海の中のことだから分からないが、これは温暖化の影響ではないか。このままの状態だと、20年後の息子たちの時代が心配だ」とため息をつく。

 こうした異変は九州各地で起きている。

 「何かが違うという感覚はあ…

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