門前町の総持寺通り商店街にコインランドリーを作るためのクラウドファンディング(CF)をPRする(右から)一般社団法人NOTOTO.の松中権さん、総持寺通り協同組合の宮下杏里さん、同組合の五十嵐義憲さん、クラウドファンディングサイト「READYFOR」の小谷菜美さん=2024年12月23日、東京・霞が関、井手さゆり撮影

 能登半島地震と豪雨で大きな被害が出た石川県輪島市門前町の商店街に、カフェ併設のコインランドリーを作りたい――。そんな住民の思いを形にするため、復興に向けて能登と伴走する一般社団法人「NOTOTO.(のとと)」(金沢市)が、1月1日からクラウドファンディング(CF)に挑戦している。目標金額は1千万円。被災で人口減が加速する街で、人々が働き集う場を作るのが目的だ。

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 「NOTOTO.」は、能登半島地震の発生直後から被災地に物資を運ぶなどの活動をしていた有志が中心となって昨年4月に立ち上げた。有志の1人が門前町と関わりがあり、今回の挑戦につながった。

 総持寺通り商店街の協同組合によると、コインランドリーを作る案は、豪雨被害の後に、商店街の今後を話し合う場で出たという。

能登の天気はめまぐるしくて

 能登の冬は晴天の日が少ない上に湿気が多く、洗濯物が乾きにくい。室内で暖房を使って乾かすと、部屋の湿度が高くなり不快感が増す。地震前にあったコインランドリーは被災したため、現在は最寄りのコインランドリーまで車で約45分かかる。また仮設住宅は狭く、布団やシーツなどの大きなものは洗いにくいという。

 カフェを併設するのは、人が働き、集う場所にもしたいからだ。被災前は海辺や畑などで自然に顔を合わせていたが、避難生活で住む場所も変わり、その機会も減った。組合の副理事で、商店街で薬局を営む五十嵐義憲さん(77)は「コインランドリーに来た人たちが、コーヒーを飲んだり人づきあいができる場所が必要だろうと思うんです」と話す。

 「商店街が復興に向けて動いていることで、門前にいて大丈夫かもって思えるきっかけになると思う」と話すのは、NOTOTO.の一員でもある組合の宮下杏里さん(33)だ。被災前にあった35店舗のうち、再建をあきらめた店はまだないといい、「CFを通して、能登、日本、世界に、門前は頑張っていく意思があるよと伝えたい」と前を向く。

 CFは「多様な人が『働ける能登』を未来に繫ぐ 復興プロジェクト」の第1弾。支援はCFサイト(https://readyfor.jp/projects/nototo-01)で3月31日まで受け付ける。

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