宇宙ベンチャー「スペースワン」は14日、和歌山県串本町のスペースポート紀伊から、小型ロケット「カイロス」2号機の打ち上げに挑む。狙うのは「宇宙宅配便」ビジネスへの参入。2020年代中に年間20機、30年代初めに年間30機を打ち上げる計画を掲げる。ただ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)でも最近は年6回が最高だ。はたして、本当に実現するのだろうか。
スペースワンが強みとしてあげるのは、ロケットの「使いやすさ」だ。
開発したカイロスは、日本の主力ロケット「H3」の3分の1から4分の1の大きさで重さ23トンと軽い。固体燃料ロケットのため部品点数が少なく、低コスト。直前に燃料を注入する液体燃料ロケットと異なり、すぐ点火できる状態でいくつも保管できるメリットがある。
この特徴を生かし、契約から発射までの準備期間を通常の半分の1年以内と掲げる。人工衛星の受け渡しから最短4日での打ち上げも可能とうたう。
「契約して打ち上げまで2年待つのはビジネスとして遅れる。短期間で打ち上げるメリットは大きい」。内閣府の宇宙政策委員などを歴任した東京大の中須賀真一教授(宇宙工学)はそう話す。
打ち上げは十数人、管制手順も自動化
自社の専用発射場を串本町に整備したのも、いつでも打ち上げられる柔軟性を確保するためだった。固体燃料ロケットは一般的に打ち上げの振動が液体燃料ロケットより大きい。衛星には負荷になるが、利便性でニーズを得られるとみている。
省エネも図る。人的ミスを減らすため管制手順を自動化。ロケットが自らの飛行を監視し、異常があれば自爆するシステムを日本で初めて採用した。打ち上げも十数人の少人数で実施する。「(ロケットの)体は小さいが、望みは大きい」と豊田正和社長は語る。
大量打ち上げの課題は何か…