宇宙ベンチャー「スペースワン」は15日午前11時ごろ、和歌山県串本町のスペースポート紀伊から、小型ロケット「カイロス」2号機の打ち上げに挑む。当初、打ち上げは14日に予定されていたが上空高層の強風の影響で直前に中止、15日への延期が決まった。
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スペースワンが狙うのは「宇宙宅配便」ビジネスへの参入。2020年代中に年間20機、30年代初めに年間30機を打ち上げる計画を掲げる。ただ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)でも最近は年6回が最高だ。はたして、本当に実現するのだろうか。
スペースワンが強みとしてあげるのは、ロケットの「使いやすさ」だ。
開発したカイロスは、日本の主力ロケット「H3」の3分の1から4分の1の大きさで重さ23トンと軽い。固体燃料ロケットのため部品点数が少なく、低コスト。直前に燃料を注入する液体燃料ロケットと異なり、すぐ点火できる状態でいくつも保管できるメリットがある。
液体燃料の場合は、直前に中止になると燃料の抜き取りや再充塡(じゅうてん)が必要になって、翌日の再打ち上げは難しいことも多い。今回のカイロスが中止の翌日に再設定できたのも、固体燃料の利点と言える。
自社の専用発射場を串本町に整備したのも、いつでも打ち上げられる柔軟性を確保するためだった。固体燃料ロケットは一般的に打ち上げの振動が液体燃料ロケットより大きい。衛星には負荷になるが、利便性でニーズを得られるとみている。
省エネも図る。人的ミスを減らすため管制手順を自動化。ロケットが自らの飛行を監視し、異常があれば自ら破壊するシステムを日本で初めて採用した。打ち上げも十数人の少人数で実施する。「(ロケットの)体は小さいが、望みは大きい」と豊田正和社長は語る。
14日午後に会見した阿部耕三執行役員は会見で「(14日の)打ち上げを楽しみにしていた方には申し訳ないが、次はなんとかしっかり打ち上げさせて頂きたい。引き続きご支援をたまわりたい」と話した。