松田邦紀・在ウクライナ日本大使=在ウクライナ日本大使館提供

 ロシアによる全面侵攻が始まって2年7カ月。侵攻前からウクライナに駐在してきた松田邦紀・駐ウクライナ大使(65)が今月、退任する。ウクライナへ、そして日本へ、いま伝えたいことは何か。

  • 【インタビュー前半はこちら】あの日、2階から見えた光跡 駐ウクライナ大使退任

 《松田大使が外務省に入ったのは1982年。米国や旧ソ連に留学してロシア語を学び、モスクワの日本大使館には2度にわたって計5年間勤務した。欧州局のロシア課長も3年間務めた》

 「ロシアへの敬意は、いまも持ち続けています。だからこそ、2022年2月に全面的な侵略戦争を始めたことについて、私は、他の道があったのではないかと思います。ロシアとして安全と繁栄を実現するためには、このような正当化できない全面的な侵略戦争をするより、他の道があったはずです」

 《戦争が長期化するなか、ウクライナに対し、さらなる犠牲を避けるために「即時停戦」の道を選ぶべきだと主張する人たちがいる。ただ、松田大使はそれに疑問を投げかける》

 「私が言いたいのは『侵略戦争を始めたのはロシアであり、即時停戦を主張するのであれば、ロシアにこそ訴えるべきだ』ということです」

 「一方で終戦の形は、侵略を受けている側であるウクライナの政府と国民だけが決められること。ウクライナがそれを決めたら、我々はそれを全力で応援するべきです」

シュミハリ首相(右)に退任のあいさつをした松田大使=シュミハリ氏のSNSから

 「ゆがんだ圧力をウクライナに与えるべきではありません。この戦争が誤った『終わり』を迎えれば、必ず将来に禍根を残します。公正かつ永続的な平和を実現することこそが重要です」

 《ロシアは2014年、一方的にウクライナ南部のクリミア半島を併合した。松田大使はその時の「反省」を生かすべきだと言う》

 「14年当時はウクライナ政…

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